システムキッチンの引き出し収納術|「立てる」だけで劇的に使いやすくなる方法

大容量で奥の物まで取り出しやすい、最新のシステムキッチンの引き出し収納。しかし、その広さゆえに「どこに何をしまえばいいかわからない」「結局、中で物がごちゃごちゃになってしまう」と、そのポテンシャルを活かしきれていない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そんなシステムキッチンの引き出しを最大限に活用するための基本的な考え方から、場所や深さ別の具体的な収納術、そして驚くほど整理がはかどる便利なグッズまで、徹底的に解説します。引き出しを開けるたびに気分が上がる、美しく機能的な収納を実現し、毎日のキッチン仕事を快適な時間に変えましょう。

なぜ使いにくい?システムキッチン引き出し収納の基本ルール

まずは、大容量の引き出しを使いこなすための、絶対に押さえておきたい2つの基本ルールと1つの心構えをご紹介します。

成功の鍵は「ゾーニング」と「立てる収納」

システムキッチンの引き出しを快適に使う秘訣は、まず「どこに何を置くか(ゾーニング)」を明確に決め、次に「上から見てすべてがわかる(立てる収納)」を実践することです。

  1. 作業場所とリンクさせる「ゾーニング」
    キッチンの作業は、主に「洗う(シンク)」「切る(作業台)」「火にかける(コンロ)」の3つに分けられます。この作業動線に合わせて、引き出しに収納するものを決めましょう。

シンク下: 水回りで使うもの(ザル、ボウル、洗剤、ゴミ袋など)

作業台下: 調理中に使うもの(包丁、まな板、食器、食品ストックなど)

○ コンロ下: 火の周りで使うもの(鍋、フライパン、油、調味料など)
このように物の住所を明確にすることで、「あれはどこだっけ?」と探す時間がなくなります。

  1. 引き出しの長所を活かす「立てる収納」
    引き出し収納の最大のメリットは、上から全体を見渡せる「一覧性の高さ」です。このメリットを最大限に活かすのが「立てる収納」。物を積み重ねず、ファイルボックスやスタンドを使って立てて収納することで、使いたいものを一目で見つけ、ワンアクションでスムーズに取り出せるようになります。

心構えは「8割収納」という余白の美学

どんなに完璧に分類しても、引き出しの中がぎゅうぎゅうの10割収納では、物の出し入れがしにくく、すぐにリバウンドしてしまいます。常に2割程度の余白を保つ「8割収納」を意識することで、見た目に美しいだけでなく、新しい物をしまったリ、一時的に物を置いたりする余裕が生まれ、きれいな状態を長くキープできます。

【場所・タイプ別】引き出し収納アイデア完全版

システムキッチンの引き出しは、場所や深さによって役割が異なります。それぞれの特性に合わせた収納アイデアを見ていきましょう。

【浅い引き出し】カトラリーや調理ツールを美しく整列させる

コンロ横や作業台のすぐ下にある一番上の浅い引き出しは、使用頻度の高い一軍アイテムの指定席です。専用のトレーやケースで細かく仕切って収納するのがベスト。

お箸やスプーン、フォークなどのカトラリーはもちろん、おたま、フライ返し、菜箸、ピーラーといった調理ツールを種類ごとに分類して収納しましょう。仕切りを使うことで、引き出しを開け閉めするたびに中身が動いて混ざってしまうのを防ぎ、いつでも整然とした状態を保てます。

【中段の引き出し】毎日使う食器やボウル類を「立てて」取り出しやすく

作業台の下などに設けられた中段の引き出しは、日常的に使うお皿やボウル、ザルなどを収納するゴールデンスペースです。ここでも「立てる収納」が大活躍します。

お皿は重ねてしまうと下のお皿が取り出しにくくなるため、専用のディッシュスタンドを使って立てて収納しましょう。サイズ違いのお皿もすっきりと収まり、お気に入りの食器を傷つけることなく大切に保管できます。ボウルやザルも、ファイルボックスなどを活用して立てることで、使いたいサイズをすぐに取り出せます。

【深い引き出し(シンク下)】掃除用品や洗剤を分類してまとめる

湿気がこもりやすいシンク下の深い引き出しは、水回りで使う掃除用品やストック類の収納に最適です。

スプレーボトルタイプの洗剤や詰め替え用のストック、ゴミ袋などをファイルボックスで種類ごとに分類して立てて収納します。こうすることで、上から見て在庫が一目瞭然になり、液だれの心配も軽減されます。排水管があってスペースが変則的な場合は、小さな収納ケースをパズルのように組み合わせることで、空間を無駄なく活用できます。

【深い引き出し(コンロ下)】鍋・フライパン・調味料の最強ステーション

火の近くにあるコンロ下の深い引き出しは、調理の主役である鍋やフライパン、そして背の高い調味料ボトルなどを収納するのに最も適した場所です。

鍋やフライパンは、専用の仕切りスタンドやファイルボックスを使って立てて収納するのが鉄則。かさばる蓋も一緒に立てて収納すれば、「蓋はどこ?」と探す手間がなくなります。醤油やみりん、油、酒といった1Lサイズの調味料ボトルも、ファイルボックスや浅いトレーにまとめておけば、万が一液だれしても引き出し本体を汚さず、掃除も簡単です。

これで完璧!システムキッチン収納に役立つ汎用グッズ

特定のブランドにこだわらなくても、以下の種類のグッズがあれば、どんな引き出しも劇的に使いやすくなります。100円ショップやホームセンター、インテリアショップなどで、ご自宅の引き出しに合うものを探してみてください。

1.【仕切りの基本】ファイルボックス

丈夫なプラスチック製のファイルボックスは、食器、鍋、食品、洗剤まで、あらゆるものを立てて分類できる万能選手です。様々な幅や高さのものがあるので、収納したいもののサイズや引き出しの深さに合わせて選べるのが魅力。汚れてもサッと丸洗いでき、いつでも清潔に保てます。

2.【カトラリー・小物整理】仕切り付きトレー・ケース

引き出しの幅や奥行きに合わせてサイズを調整できる伸縮タイプのトレーや、自由に組み合わせられる小さなサイズのケースは、ごちゃつきがちなカトラリーや小物を美しく整理するのに不可欠です。引き出しの中を無駄なく、自分仕様にカスタマイズできます。

3.【食器の指定席】ディッシュスタンド・ラック

お皿を一枚一枚、省スペースで立てて収納できる専用スタンドです。引き出しの中はもちろん、食器棚の中でも活躍します。様々なサイズのお皿に対応できるよう、仕切りの位置を調整できるタイプもあります。木製やスチール製など、素材によってキッチンの雰囲気も変わります。

4.【鍋・フライパンに】伸縮式の仕切りスタンド

鍋本体や蓋の厚みに合わせて、仕切りのワイヤーの位置を自由に変えられる便利なスタンドです。重い鋳物鍋などもしっかりと支えられる、丈夫なスチール製などがおすすめ。これを一つ置くだけで、コンロ下の引き出し収納が驚くほど整います。

引き出しを開けるたび、好きになる。整うキッチンで豊かな毎日を

今回は、システムキッチンの引き出し収納について、基本的な考え方から具体的な収納術、役立つグッズまでご紹介しました。大容量で使いやすいはずのシステムキッチンも、ルールなく使っていては宝の持ち腐れです。

まずは「ゾーニング」で物の住所を決め、「立てる収納」を意識することから始めてみてください。引き出しを開けるたびに、美しく整然と並んだツールや食器が目に入れば、自然と料理へのモチベーションも上がるはず。整ったキッチンは、日々の暮らしに時間と心のゆとりをもたらしてくれます。

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